
※虫嫌いの方はご注意ください
涼しくなって、この虫が目立つようになってきました。
キマダラカメムシ。

会社の壁に張り付いていました
東南アジアまたは中国原産とされる外来種です。在来種のクサギカメムシとは、頭に黄色いラインが入っているところで見分けられます。
樹木の樹液を餌としています。サクラ等を好むそうですが、以前カツラの木に幼虫がわんさと付いているのを見たことがありますので、樹種はあまり選ばなそうです。行田公園のお隣に位置する弊社。移動経路なのか、休息地なのか、地面やら壁やら、カメムシに人気のスポットになってしまっています。
キマダラカメムシは、江戸時代、唯一開港していた長崎に、船で旅してきた個体が上陸したと考えられています。その後200年以上にわたって分布が変わりませんでしたが、10年ほど前から急速に分布を拡大させています。分布拡大の要因としては、温暖化と交通インフラの発展が考えられているようです。
このカメムシの生息には越冬場所が必要。でも、寒さをしのげる場所を確保しながら移動するには、飛翔能力に乏しい模様。
キマダラカメムシの飛翔能力を実験した記録があります。
三角コーンから飛び立ったカメムシの飛翔時間と距離を計測したら、最大で54.3m、23.1秒の飛行。平均だと17.6m(9.3秒)、最少は5.7m(1.2秒)。日本縦断には途方もない時間がかかりそうですね。会社の周りでも、ぶーんと大きな羽音を立てながらふらふら飛んで、ばちんと壁に当たって、べちっと危なっかしい着地をする姿を見ていますので、実験風景が目に浮かぶようです。
自分達で飛べない代わりに利用したのが、人間の交通インフラです。車や貨物列車等に乗って移動して、運ばれた先の環境も温暖化で越冬できるようになっていたことが、分布拡大の助けになったのだと推測されます。
そもそも外来種とは、生物自身の移動能力を超えて人間が持ち込んだ生物なんですよね。
キマダラカメムシを沢山見かけるようになって、その動向にアンテナを張っていたのですが、実はまだ目立った害は報告されていません(臭いということを除いては)。
もしかしたら、あまり悪い虫ではないのかもしれません(生態系のバランスの観点では)。
しかし、これだけ数が増えると、元々居た在来種の住処や餌を奪うなど生態系に悪影響を及ぼす可能性は十分にあり、動向に注意していく必要があると思います。
生態や実験結果については、長崎の高校生の研究を参考にしました。面白いので、興味があればぜひご覧ください。
「キマダラカメムシの飛翔能力と分布拡大について」
(吉川ら,2025,若者たちの科学雑誌 No.2:41-44)
https://nagasaki-w-ssh.sakura.ne.jp/nishi/sjyn/?p=803